化学肥料や農薬に依存しない「自然農法」では、
『大自然を尊重し、その摂理を規範に順応する』
『生きている土の偉大な能力を発揮させる』ことを理念と原理としています。
つまり「自然農法」は、「農薬や化学肥料に頼らず」「生命を生かし」
「自然の働きを引き出し」「永続的な生産を行う」ことを目的とした農法です。
化学肥料や農薬を使用しなければ農業が成立しないと信じられていた時代にあっても、理念に共鳴する人々によって
実践され、受け継がれてきました。そして今日、食品の安全性と環境保全を求める声が高まってきており、
こうした状況の中で自然農法の果たす役割が世界中で高く評価されています。
公益財団法人自然農法国際研究開発センターは、
自然農法の理念と原則に基づき、自然の生態系を
利用した農業技術を研究し普及することによって、
自然環境の保全、農家経済の安定向上、健康で
豊かな食生活が達成されることを願いとしています。
センターは内閣府から認定された公益財団法人として、
新しい農業分野としての自然農法の開発と普及のために
活動しています。
自然農法の研究を専門に行う農業試験場を設置し、各分野の研究並びに後継者・技術者の育成を行っています。
同じ自然農法を目指した圃場環境でも、作物品種によって生育量・収量や病害虫の程度、食味が異なって
現れることに注目し、土壌生態系の機能を有効に活用できる自然農法・有機農業に適した品種の研究開発をしています。
国内外から採集した在来種・耐病性品種・自生種を素材にして、少肥で栽培でき、環境適応性に優れた食味の良い品種を
目標に育成・採種を行い、専業農家や家庭菜園実施者に対して種子の頒布を行っています。
農を基にした自然循環型地域社会のモデルづくりをめざし、
自然農法の実証圃場づくりと研修会・交流会の実施、
健康な農と食に関する情報発信を行っています。
有機農産物等の表示の適正化を図るため、平成11年7月に有機食品の
検査認証制度が制定されました。
センターでは、平成12年8月に農林水産省から登録認定機関として
許可を受けて認定事業を行っています。
有機農業の分野における推進関係団体との交流や支援を行っています。
おもな交流・支援団体
・NPO法人有機農業参入促進協議会
・NPO法人全国有機農業推進協議会
・NPO法人IFOAMジャパン
・国際有機農業運動連盟(IFOAM)
物質循環や生物活性に優れた圃場生態系と高い生産性との両立を目指した栽培を行い、
作物を健康に育てうる土壌の構造と機能や、人間の健康に寄与する農作物の品質評価法などについて、
チーム制で研究しています。
研修生を受け入れ、試験研究圃場を教材として研修を行っています。
研修は全寮制で、田畑での実習や講義を通して自然農法を学びます。
自然農法の情報発信と学術交流の促進を目的として、これまでに世界の六大州において7回の救世自然農法国際会議を
開催するとともに、IFOAM(国際有機農業運動連盟)会議においても自然農法に関する成果発表を行っています。
アジア太平洋地域では、タイのバンコクに拠点を置くAPNAN(アジア太平洋自然農業ネットワーク)を通して、
各国の普及団体と協力し、自然農法の普及を行っています。